2003 年 94 巻 3 号 p. 452-455
症例は, 62歳の男性. 幼少時より, 陰茎の腫瘤を自覚していた. 無症状であったが, 数年前から腫瘤が徐々に増大してきたため, 2002年5月1日, 当科受診した. 陰茎亀頭部腹側に, 径約2.5cmの, 表面平滑, 可動性のある弾性軟の円形腫瘤を認めた. 確定診断のため, 同年5月14日に, 腫瘤切除術を行った. 腫瘤は, 尿道海綿体との交通を認めず, 病理組織診断は, 陰茎の類表皮嚢胞であった.
陰茎類表皮嚢胞は, 縫線嚢胞の一型であるものが多いと考えられているが, 報告例は少ない. 自験例は本邦7例目と思われる.