2006 年 97 巻 1 号 p. 64-67
69歳男性. 吐血, タール便を主訴に前医を受診した. 精査の腹部CTで左腎腫瘍, 両側副腎腫大を認めたため, 精査目的に当院を紹介受診した. 腹部CTで左腎下極, 中央部にそれぞれ45mm, 15mmの腫瘍を認め, 両側副腎腫大, 腸重積を伴う小腸腫瘍を認めた. 左腎腫瘍, 両側副腎転移または過形成, 原発性または転移性小腸腫瘍と診断し, 左根治的腎摘出術, 両側副腎摘出術, 小腸部分切除術を施行した. 病理診断は renal cell carcinoma, granular cell carcinoma, G2>G3>G1, INFα, v (+), pT1a, pM1, Stage IVであった. 両側副腎と小腸腫瘍は腎細胞癌の転移であった. 術後は天然型インターフェロンα投与とステロイド補充療法を行った. 術後19ヵ月で頚部リンパ節, 肺転移を生じ, 術後27ヵ月目に癌死した.