日本泌尿器科学会雑誌
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精巣腫瘍の管理における total human chorionic gonadotropin (hCG) の有用性
free βhCGにかわる精巣腫瘍の標準マーカーとしての可能性
滝沢 明利三浦 猛岸田 健藤浪 潔長田 裕服部 裕介齋藤 和男野口 和美窪田 吉信
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2007 年 98 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

(目的) 本邦における精巣腫瘍のヒト絨毛性ゴナドトロピン (以下hCG) 標準マーカーはフリーβhCG (以下fβhCG) であるが, hCG関連アッセイはトータルhCG (以下thCG) とインタクトhCG (以下ihCG) もあわせて3種類存在する. われわれは精巣腫瘍管理におけるthCGの有用性について検討を行った.
(対象と方法) 2004年10月より2006年3月までに診断/治療を行った胚細胞腫瘍患者21例 (セミノーマ [以下SGCTs] 8例, 非セミノーマ [以下NSGCTs] 13例) について, 血清ihCG, ihCGおよびfβhCGを同時測定し検討を行った.
(結果) SGCTsではfβhCGと他のアッセイ間では相関はなかったが, NSGCTsではいずれのアッセイも強く相関した. 診断時感度は, SGCTsではthCG, NSGCTsではthCGとihCGが高かった. 診断時3アッセイとも陽性であった症例ではfβhCGがthCGおよびihCGより約1ヵ月先に陰性化した. また再発・治療抵抗例の4例中3例でfβhCGに先行してthCGとihCGが上昇した.
(結論) 今回の検討により, thCGは組織型を問わず診断に有用であるうえ, fβhCGよりも測定値が高いため, βhCG陰性化後も病状把握が可能であり繊細な管理に適することがわかった. われわれは, NSGCTsにおいてthCGはfβhCGに替わる標準アッセイになると考えており, SGCTsにおいても有用性が高いと考える.

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