抄録
脳の組織特性を理解することは,解剖学的特性と脳における情報処理の関連を理解する上で重要である。近年,quantitative magnetic resonance imaging(QMRI)法の進展によって,組織特性指標を定量的にヒトの生体脳から計測することが可能となった。QMRI法は,今後脳の組織特性と行動,発達および疾患の関係を研究する上で重要なツールとなることが期待できる。本稿では,近年のQMRI法の進展および,QMRI法を用いてヒト脳の灰白質および白質の組織特性を調べた研究を概観する。