2019 年 40 巻 4 号 p. 71-78
21世紀に入る前後,累進屈折力レンズの製造方法において大きな技術革新があった。それまでは,累進屈折力機能を持つ表面(いわゆる累進面)を外面に持つセミレンズを作り置きし,装用者の度数に合わせて内面を球面またはトーリック面に加工する方式を長らくとってきたが,累進面のような複雑な面を精度良く短時間で加工する,いわゆる自由曲面製造技術が開発され,初めて個々の処方に対して光学パフォーマンスを最適化した累進屈折力眼鏡を設計し,製造することが可能になった。本文では,この自由曲面技術がどのように設計活用され,装用者にどのような利益をもたらすかについて説明する。