2026 年 37 巻 1 号 p. 13-17
脂肪由来幹細胞 (ADSCs) は,神経栄養因子の放出,血管新生促進,抗炎症作用などを介して末梢神経再生に寄与することが報告されている。これまでにわれわれは,末梢神経欠損に対してADSCsを付加することで治療成績が向上することを示してきた。一方,脂肪組織から酵素を用いず機械的処理のみで抽出される間質血管細胞群 (mSVF) は,ADSCsを含む多様な細胞集団を低コストかつ短時間で得られる点から,臨床応用に向けた利点を有すると考えられている。しかし,mSVFは抽出方法の標準化や,作用機序の解明など,解決すべき課題も残されており,臨床応用に向けてさらなる検討が必要である。本稿では,末梢神経に対するSVFの研究動向と今後の展望について論じる。