日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
糖尿病性足潰瘍の予防を目的としたハイリスクな胼胝の同定方法の開発;糖尿病性神経障害患者に生じる炎症を伴う胼胝の形態的特徴
西出 薫大江 真琴真田 弘美長瀬 敬大場 美穂飯坂 真司仲上 豪二朗大橋 優美子門野 岳史植木 浩二郎門脇 孝
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 16 巻 1 号 p. 1-8

詳細
抄録

 本研究の目的は、炎症を伴う胼胝の形態的特徴を明らかにすることであった。対象者は足部に無自覚な胼胝を有する糖尿病患者30名であった。生理学的手法としてサーモグラフィーと超音波診断装置(エコー)を用いて、炎症所見を同定した。つぎに、炎症の有無と形態の関係を検討した。炎症の有無で有意差のあった形態については、感度、特異度、陽性反応適中率、陰性反応適中率を算出した。対象者30名において63個の胼胝が観察された。サーモグラフィーとエコーにより炎症所見を伴う胼胝は10%であった。炎症のある胼胝では、境界が明瞭であった者の割合が有意に高かった(p=0.016)。炎症を伴う胼胝の形態的特徴において境界を指標とした場合、感度は60.0%、特異度は91.1%であった。炎症を伴う胼胝は境界が明瞭であるという形態的特徴の観察により早期発見できる可能性がある。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
次の記事
feedback
Top