日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
皮膚・排泄ケア認定看護師経験年数別にみた褥瘡管理に関する調整力自己評価尺度の活用可能性の検討
横野(西澤) 知江真田 弘美須釜 淳子紺家 千津子大桑 麻由美松井 優子松尾 淳子木下 幸子市川 佳映貝谷 敏子佐藤 文藤本 由美子
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2016 年 20 巻 1 号 p. 32-42

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抄録

 皮膚・排泄ケア認定看護師(以下WOCN)が褥瘡管理を円滑に行うためには、他職種を調整する能力を身につけることが重要である。そこで先行研究で開発した調整力自己評価尺度について、セルフラーニングのための教育コンテンツとしての活用可能性を探った。創傷に関するセミナーに参加したWOCNを対象に横断調査を行った。WOCN歴群別調整力得点は、専従のWOCNにおいて、褥瘡管理メンバー以外はWOCN歴5-9年の得点が最も高かった。一方、非専従では、経験年数が上がるにつれて得点が高かった。また、調整力発揮割合が最も低かった医療者は、専従のWOCNにおいて、WOCN歴3、4年群をのぞき、いずれの群も病院管理者であった。非専従では、すべてのWOCN歴群において、調整力発揮割合が最も低かった医療者は病院管理者であった。以上より、4点について示唆された。1点目に、本尺度はWOCN歴10年以上のWOCNにおいても、自己評価ツールとして利用する価値が示唆された。2点目に本尺度は、専従のWOCNでは、WOCN歴5-9年の得点を目標点とし使用することが適当と考えられた。非専従では、勤務形態を考慮した目標点を定める必要がある。3点目に、WOCNは調整力の向上に努めるとともに、病院管理者に褥瘡管理活動を理解してもらい、褥瘡管理しやすい環境づくりのための支援を得ることが重要である。4点目に、本尺度の活用方法として、各医療者に対して、調整力を発揮できているのか否かを確認するツールとして使用することが適当といえる。

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© 2016 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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