日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
教育講演
認知症患者さんの排泄障害
榊原 隆次
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2016 年 20 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

 認知症は、いったん進行すると、機能性尿便失禁が必発する。これは、トイレで排泄する意志がない、または合併する歩行障害などのために失禁してしまうものである。一方、認知症が軽度であるにもかかわらず、頻尿・尿失禁がみられる場合がある。これは、膀胱抑制的に働く中枢部位の障害による、過活動膀胱のことが多く、アルツハイマー病よりも、白質型多発性脳梗塞(かくれ脳梗塞ともいう)、レヴィー小体型認知症で多い。認知症が軽度であるにもかかわらず、便秘・イレウスがみられる場合がある。これは、腸管壁内神経叢の障害によるもので、レヴィー小体型認知症で特徴的にみられる。これらの認知症に伴う排泄障害に対して、病態に応じた積極的な加療が望まれる。

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© 2016 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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