認知症は、いったん進行すると、機能性尿便失禁が必発する。これは、トイレで排泄する意志がない、または合併する歩行障害などのために失禁してしまうものである。一方、認知症が軽度であるにもかかわらず、頻尿・尿失禁がみられる場合がある。これは、膀胱抑制的に働く中枢部位の障害による、過活動膀胱のことが多く、アルツハイマー病よりも、白質型多発性脳梗塞(かくれ脳梗塞ともいう)、レヴィー小体型認知症で多い。認知症が軽度であるにもかかわらず、便秘・イレウスがみられる場合がある。これは、腸管壁内神経叢の障害によるもので、レヴィー小体型認知症で特徴的にみられる。これらの認知症に伴う排泄障害に対して、病態に応じた積極的な加療が望まれる。