2017 年 21 巻 4 号 p. 304-312
目的:尿道カテーテルの長期留置は、尿路感染症発生や歩行能力低下につながり、脳卒中患者の生活機能を維持するには避ける必要がある。本研究では、急性期に尿道カテーテル留置管理となった脳卒中患者に対して、急性期病院から回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)への継続的排尿自立支援の有効性を検証した。方法:急性期病院において尿道カテーテル留置管理となり、回復期リハ病棟に転院した脳卒中患者(介入群70名、対照群60名)に対し、準実験研究を実施した。介入群には、急性期に排尿日誌および膀胱容量測定による下部尿路機能評価に基づく排尿管理を行い、その後の回復期リハ病棟への情報提供による継続的排尿自立支援を行った。対照群は急性期の早期排尿自立支援のみとした。結果:介入群は、回復期リハ病棟入院中に尿路感染症を発生した者が0名であり、対照群にくらべて有意に低く(0% vs. 6.7% , p=0.028)、排尿方法が発症前とくらべて退院時に維持・向上していた者の割合が高い傾向を示した(85.7% vs. 72.9% , p=0.070)。脳梗塞患者は、在院日数が有意に短かった(56.5 ± 25.4 vs.77.6±34.4, p=0.049)。結論:脳卒中患者において継続的排尿自立支援は、尿路感染症の予防、在院日数の短縮に有効であった。また、退院時に発症前の排尿方法に回復できる可能性が示唆された。