抄録
目的:非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)マスクによる圧迫創傷は、不適切なマスクフィッティングにより生じる。マスクフィッティングを客観的に評価するため、顔面とマスク周囲の接触圧を評価する多地点連続計測システムを開発した。本研究の目的は、その信頼性・妥当性を検証することである。
方法:MサイズのNPPVフェイスマスクを装着可能なボランティア20名、測定者1名を対象とした。評価者内信頼性、一致性の評価のため、リーク流量50 L/分となるよう3回ずつマスクフィッティングを実施し、各1分間ずつ測定した。既知集団妥当性評価のため、ストラップテンションがほぼ0 gf と200 gf を超えるようマスクフィッティングを実施し、各10秒ずつ1回測定した。本研究は、倫理審査委員会の承認を得て実施した。
結果:評価者内信頼性は級内相関係数0.79-0.99、一致性の測定誤差は、0.3-5.6 mmHg、検出可能な最小の変化は、0.9-15.6 mmHg であった。既知集団妥当性の評価では、どの部位においても200 gf を超えるようにマスクフィッティングをした場合に、有意に接触圧が高かった(P < 0.001)。
結論:M サイズのマスクを装着可能な健常成人において、開発した接触圧測定機器は、マスクフィッティングを評価するために十分な評価者内信頼性、一致性、既知集団妥当性を有することが確認できた。