日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
糖尿病足潰瘍におけるなつめやしとハチミツ混合とハチミツ単独の治癒比較
イムラン大貝 和裕スプリアディ シャフィ シャドハリアント大江 真琴仲上 豪二朗スリアディ中谷 壽男大桑 麻由美真田 弘美須釜 淳子
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2021 年 25 巻 3 号 p. 597-610

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抄録
【目的】ナツメヤシとハチミツ混合はインドネシアにおいて糖尿病足潰瘍の局所管理に使用されるが、この局所管理に関する臨床エビデンスはない。本研究の目的は、ナツメヤシとハチミツ混合療法の糖尿病足潰瘍治癒効果の評価である。また創部のバイオフィルムおよびバイオマーカーへの影響も評価した。
【方法】ナツメヤシとハチミツ混合療法を受けた30名の患者(再発)とハチミツ単独療法を受けた30名の患者(再発)が参加した。両群とも2 週間ごとに8 週まで追跡された。糖尿病治癒についてカプランマイヤー法にて比較した。またCox 比例ハザードモデルで治癒の速さの要因を検討した。さらに酸化ストレスマーカーとしてSOD3、炎症反応としてIL-6 を調べた。2つのバイオマーカーとバイオフィルムを創面ブロッティング法で採取した。線形混合モデルを用いて局所管理の効果を検討した。
【結果】ナツメヤシとハチミツ混合療法を受けた患者のほうが、有意に治癒割合が高かった(p = 0.015)。ハザード比は8.55(95% CI:1.03-70.72、p = 0.046)であった。バイオフィルム染色画像強度(p = 0.008)、IL-6(p = 0.015)、SOD3(p <0.001)に有意差を認めた。
【結論】ナツメヤシとハチミツ混合は糖尿病足潰瘍(再発)の治癒を促進することが示唆された。
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