日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総説
1分子計測リキッドバイオプシーの夜明け
小松 徹坂本 眞伍浦野 泰照
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2020 年 5 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

1分子計測法は,生体分子の挙動を1つの分子ごとのレベルで理解することを目指す計測手法であり,生体分子を集団として扱うことで解析をおこなう分光学的手法と比較して,高い感度,スループットをもって解析をおこなうことができる方法論として独自の発展を遂げてきた.近年,血液などの生体由来サンプル中に含まれる細胞,生体分子の情報から疾患の診断をおこなうリキッドバイオプシーにおいて,このような1分子計測法の概念を持ち込むことで,その感度やスループットを向上させる先駆的な試みが進められている.核酸の検出にこれを利用した次世代シーケンサーは,現在,腫瘍細胞由来のDNA(circulating tumor DNA; ctDNA)検出によるリキッドバイオプシーにおける主幹技術となっており,近年では,セントラルドグマの下流に位置するタンパク質の検出においても,1分子計測法を用いたリキッドバイオプシーの方法論開発が進められている.本総説では,主にこれらの概念と研究の現状について,特にタンパク質の1分子解析手法の開発を中心とした最新の技術開発の例を中心に紹介させていただきたい.

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