論文ID: 2501005
高田保馬は自身の社会学と経済学の研究から独自の人口理論を構築し,社会変動の要因を人口に求める第三史観を提唱した。また高田は人口変動,特に出生率の変動に関する実証分析を行った。高田はこれらの研究から,人口過剰が問題とされていた大正・昭和初期の日本において,逆に人口を積極的に増加させていくことを主張した。戦時中には,人口増加のための政策として高田は,生活水準の抑制と生まれた子供の健全な育成,そして人口増加の源泉となる農村の維持を主張した。高田の人口に関する主張に戦時下の社会の方が追いつく形になったことで高田は当時の人口政策のイデオローグとなった。しかし早い時期から人口減少を予測していた高田の人口論は,少子化が進む現代においても参考になる面がある。