人口学研究
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最新号
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表紙・目次
論文
  • 水ノ上 智邦
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 1-21
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/09/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,地方圏に住む若年層が進学や就職を契機とする居住地選択において,主観的な価値観や周囲の人間関係がどのように影響するのかを,実証的に明らかにすることを目的とする。個人の居住地選択についての既存の研究からは,地域間の所得格差は移動を理解する上で欠かすことができない重要な要因とされている。しかしながら,経済的な要因が移動に与える影響は性別により異なることが指摘されている。また,大都市から地方圏へのUターンのように,経済的インセンティブのみでは人口移動を十分に説明できない事例もみられる。そこで本研究では既存の研究において考察されることが少なかった若年層が自らの理想的な生き方を実現できるかという主観的な判断が居住地選択に与える影響に着目する。具体的には,(1)ジェンダー・ギャップをはじめとする県民性や社会の雰囲気,(2)親や友人・パートナーとの関係,(3)ロールモデルの存在およびその居住地,という3点に焦点を当て,高校卒業時の進学および就職を機として地元から転出するか否かについての実証的な分析を行う。分析では,2023年に徳島県が行った全国規模のアンケート調査から得られた1万2,281人のデータを利用する。分析により次の3点が明らかになった。1点目として,「結婚するのは当然」,「女性は家庭・子育て優先」といった固定的な生き方を強いるような雰囲気を感じた女性は,進学を機に県外へと脱出することが示唆される。2点目として,転出・残留の選択においては,親の希望に加え,友人・パートナーが地元に残留することも有意な影響を持っている。3点目として,地元にロールモデルが存在することは,多くのケースにおいて若年層が地元に残留する確率を高める傾向がある。これらの発見は人口減少に直面する多くの地方自治体にとって,若年層の地元残留率を高める施策についての示唆となり得る。

特集論文
  • 佐藤 龍三郎
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 22-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー
  • 吉野 浩司
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 25-33
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー

    本稿の課題は,T.R. マルサスの人口論がどのように日本で受容され,解釈されていったかについて論じることである。その際,特に1916年に京都帝国大学で開催された「マルサス生誕 150年記念講演会」に焦点を当てた。この記念講演会は,日本におけるマルサスの人口論の受容において重要な役割を果たした。講演内容は,経済学,歴史学,社会学,人口学などの研究分野における,当時の最先端の知見と動向を反映しており,また最新の統計や人口動態,新マルサス主義の議論までも含んでいる。この講演会は,学術的な議論を超えて,一般社会にも広く学問的成果を届けることとなった。その成功により,その後も定期的にマルサスを記念する講演会や雑誌の企画がなされ,狭い学会や分野の垣根を超える議論の場を提供することとなった。

  • 牧野 邦昭
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 34-42
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー

    高田保馬は自身の社会学と経済学の研究から独自の人口理論を構築し,社会変動の要因を人口に求める第三史観を提唱した。また高田は人口変動,特に出生率の変動に関する実証分析を行った。高田はこれらの研究から,人口過剰が問題とされていた大正・昭和初期の日本において,逆に人口を積極的に増加させていくことを主張した。戦時中には,人口増加のための政策として高田は,生活水準の抑制と生まれた子供の健全な育成,そして人口増加の源泉となる農村の維持を主張した。高田の人口に関する主張に戦時下の社会の方が追いつく形になったことで高田は当時の人口政策のイデオローグとなった。しかし早い時期から人口減少を予測していた高田の人口論は,少子化が進む現代においても参考になる面がある。

  • 杉田 菜穂
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 43-50
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー

    戦前戦中期の日本では,人口の量と質への関心,それがもたらした社会の内実や人々の生活の実態への関心が人口と経済社会の総合的研究の重要性の認識と人口に関する科学としての人口学の発展を基礎づけるとともに,衛生行政,社会行政の拡大につながった。その動きと関連づけられる日本の社会政策論は,当初から人口現象の分析と結びついた国民の生活の実態(生活程度及びその改善)への関心を背景とする生活政策論も充実していた(=人口・社会政策論)。その背景にはマルサスにはじまる人口学説の展開の圧縮的な受容があり,それが複数の学問領域にまたがるテーマに取り組む人口論,人口・社会政策論の形成につながったのである。

  • 柳田 芳伸
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 51-71
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー

    本稿は,戦後日本の大学の経済学部において,定期的な「人口論」の講座を担当した南亮三郎(1896-1985)と市原亮平(1926-1982)の人口論研究に焦点をあて,それらの基本的特色を明らかにすることを主眼としている。まず両教授が人口論を担当するまでの足跡を辿っている。南が戦前において既にマルサス人口論を中心とした重厚な人口論研究を積み上げてきていたことや,市原は戦後に開花していった日本近代史研究から人口論に向ったことを確認している。南は人口波動論を機軸としてマルサス人口論を読み解き,マルサスの前後に展開された諸人口論もマルサスを主軸にして整理していく。マルクスの相対的過剰人口論さえその例外ではない。市原はこうした接近法をマルサスを「近代人口論の完成」者として評価した学績とする一方で,吉田秀夫の一連のマルサス研究によりつつ,マルサスの論はあくまでも「私有財産制と一夫一婦制」に基づいた1つの資本主義社会分析に過ぎないとした。その上で,資本主義社会の発展諸段階に見られる各々の人口法則を解明,把握していく必要を強調した。

    また南によれば,マルサスは『人口論』中で原理的には経済学,社会学,生物学,民俗学を包括的に論じていたが,マッケンロートの労作(1953)に学んで,「人口論の統合化」はいずれの科学からも接近可能であるとした。他方,市原はクンーツの力作(1957)を「体系的な経済学的人口論」と称賛し,その発展的理解を訴えた。市原は南の高論「唯物史観における人口の地位」等からの示唆を得て,「エンゲルスの二元史観」に着目し,「計画出産と計画経済の結合」の要を説いた。さらに両者共に,人口統計学の重要さを認め,人口統計を人口学の方法科学に据えた。南は経済学的,社会学的,生物学的な諸側面の統合化を肝要としたのに対して,市原の方は政治経済学の視点から政治算術が見出した人口秩序の自然的・社会的究明こそ緊要であるとした。

  • 林 玲子, 廣嶋 清志, 吉野 浩司, 牧野 邦昭, 杉田 菜穂, 柳田 芳伸
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 72-79
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー
  • 和田 光平
    原稿種別: 論文
    2025 年61 巻 p. 80-81
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/21
    [早期公開] 公開日: 2025/07/17
    ジャーナル フリー
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