抄録
強磁性・反強磁性および強誘電性が共存する物質群であるマルチフェロイック物質は、特にTbMnO_3における電気磁気効果(外部磁場による電気分極の制御)の発見以降、活発に研究されている。多くのマルチフェロイック物質では、電子の持つ3つの自由度、スピン・電荷・軌道の秩序が格子の自由度と結合し、共存する秩序間の多彩な交差相関を示す。我々は、これらの秩序が結晶のもつ空間反転対称性を破り強誘電分極を生じる微視的メカニズムを明らかにすべく、遷移金属酸化物を中心に密度汎関数法による電子状態計算を用いた理論研究を行っている。本講演では、以下のような交差相関を示す物質群についての我々の研究を包括して紹介する。