抄録
廃棄物の減量化、無害化のための処理方法として焼却処理が行われ、多くの有機化学物質はその処理過程で分解されるが、重金属は分解されずに焼却残渣等に移行する。産業廃棄物は非常に多様なため、焼却処理に伴う金属の挙動もまた多様であると考えられる。本報告では、過去に行った木くず焼却処理施設調査、木くず破砕処理施設調査の調査データと採取した焼却残渣、木くず、木くずチップの金属分析結果、さらに、最終処分場にて採取した種々の焼却灰の金属等分析データを用いて、焼却処理に伴う金属の挙動の解析事例として、木くずを中心とした焼却について金属の挙動について検討した。 焼却灰の金属含有量データの比較から、木くず焼却により生じる焼却灰は相対的に金属濃度は低い傾向が見られた。また、物質収支は把握できていないが、たとえば、木くずチップの分析結果との比較により、ヒ素や亜鉛は底灰に残りにくい元素であることが確認された。