空間異方的二次元格子における不整合スパイラル磁性相の動的平均場解析

抄録

磁性に対する幾何学的フラストレーションの効果という観点から、異方三角格子における磁性の理論研究はスピン系と強相関電子系の双方で行われてきた。しかしながらHeisenberg模型解析で予想されている、格子周期と不整合な波数で特徴づけられるスパイラル磁性相の存在は、Hubbard模型の解析において、平均場近似を越えた範囲でほとんど確認されていない。Hubbard模型の強相関極限がHeisenberg模型である以上、この不整合スパイラル磁性相は、Hubbard模型においても発現することが予想される。そこで我々は局所的なゲージ変換を用い、異方三角格子上のHubbard模型における不整合スパイラル磁性相を動的平均場近似を用いて確認した。その結果、強い異方性が不整合スパイラル磁性相を誘起すること、120°構造は三角格子上でのみ安定化することを見出した。