ブースト不変に膨張するカラー電場からのクォーク・グルーオン粒子生成とその遮蔽効果

抄録

高エネルギー重イオン衝突における初期非平衡過程の理解を目指し、ブースト不変に膨張する古典カラー電場からのクォーク・グルーオン粒子生成を基礎理論であるQCDに基づいて議論する。まず、古典カラー電場上のクォーク・グルーオンの量子揺らぎを考え、その量子揺らぎ間の非線形相互作用に平均場近似を施すことで、(1)生成粒子の散乱や遮蔽効果が自然に記述でき、さらに、(2)系の支配的な自由度が古典場から粒子に滑らかに変わってゆくような理論的枠組みが構築できること、を示す。次に、この理論的枠組みを、ブースト不変に膨張する古典カラー電場に適用し、数値計算を実行することで、目的であった高エネルギー重イオン衝突における初期非平衡過程のダイナミクスを具体的に議論したい。