日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第93回日本薬理学会年会
セッションID: 93_2-PL
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プレナリーレクチャー
薬剤による制御性T細胞の制御と免疫疾患
*坂口 志文
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抄録

正常個体中に存在する制御性T細胞 (Regulatory T cells, Treg)は、免疫自己寛容の維持、様々な免疫応答の抑制的制御に枢要である。内在性Tregの大部分は胸腺で、機能的に成熟した形で産生される。転写因子Foxp3は、Tregに特異的に発現し、Tregの発生、機能発現を制御するマスター制御遺伝子である。Foxp3+Tregの量的・質的異常は、様々な自己免疫/炎症性疾患の直接的原因となる。逆に、正常T細胞にFoxp3を発現させると、機能、表現型の点で内在性Tregと同等のTreg様T細胞に転換できる。一方、抗体、小分子を用いてTregの量的減少、抑制活性の減弱を図れば、がん免疫、微生物免疫を亢進できる。本講演では、Tregによる免疫抑制の分子機構、およびその機能、細胞系譜の維持機構について述べる。さらに、如何にTregを増やし、あるいは通常T細胞をTregに転換できるか、またTregを用いた細胞療法による自己免疫病、炎症性腸炎などの予防・治療が可能か、について議論する。

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© 2020 本論文著者
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