日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第94回日本薬理学会年会
セッションID: 94_2-SL7
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特別講演
Ca2+シグナリング依存的神経回路制御機構に学ぶ
*尾藤 晴彦
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抄録

記憶形成時の可塑的刺激によって活性化された神経細胞集団にて、シナプス入力は核内でのCREB依存的転写誘導を引き起こす。シナプス入力は、シナプス局所における神経可塑性シグナルを引き起こすのみならず、長期記憶・長期可塑性を制御するシナプスと核を結ぶ活動依存的神経可塑性メカニズムをも活性化することを我々はまず見いだした。シナプスと核の間の情報伝達の解読により、シナプスから核に至る複数のCREB経路と、その下流の標的遺伝子であるArcの制御に基づく逆シナプスタギング機構を明らかにした。一方、これらの発見により、シナプス可塑性とArc転写可塑性の間の両方向的機能連関を担うゲノム・蛋白の構造モジュール情報同定が実現した。この結果、速い活動電位動態を記録可能な次世代Ca2+インディケーター群XCaMP、ならびに活性化神経細胞集団を標識する合成プロモーターE-SAREの開発が可能となった。このようなCa2+シグナル伝達の分子基盤解明がもたらした神経回路計測・標識技術開発の革新が、現在数多くのin vivo 脳機能制御機構解明に寄与している。

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© 2021 本論文著者
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