日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第97回日本薬理学会年会
セッションID: 97_2-B-SL11
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特別講演
統合失調症のゲノム解析に基づく創薬への挑戦
*山田 清文
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抄録

統合失調症は10代後半から30代にかけて発症する重篤な精神疾患であり、主な症状は幻覚妄想などの陽性症状、感情平板化などの陰性症状と認知障害である。統合失調症の病因は不明であるが、遺伝的要因と環境要因が寄与している。現在、統合失調症治療薬として承認されている抗精神病薬は、陽性症状を改善するものの陰性症状や認知障害には効果が乏しく、難治例も多い。錐体外路障害などの重篤な副作用も問題となっている。したがって、病態解析に基づく新規治療標的の同定と疾患修飾薬の開発は喫緊の課題である。我々はゲノム解析に基づくトランスレーショナルリサーチによりこの難題に挑戦している。具体的には、日本人患者を対象としたゲノム解析の結果、病態パスウェイの一つとして低分子量Gタンパク質シグナルが示唆されている。我々は、統合失調症の発症に強く関与するARHGAP10遺伝子バリアントを同定し、このバリアントを模したArhgap10遺伝子改変マウスを作製・解析した。本講演では、これまでに得られたArhgap10遺伝子改変マウスの病態解析の結果とともに、Rhoキナーゼ阻害薬の抗精神病薬様作用について紹介する。

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© 2023 本論文著者
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