日本予防理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-9950
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低・中所得国の高齢者における余暇身体活動とサルコペニア
折内 英則
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 3 巻 1 号 p. 57

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抄録

【背景】低・中所得国(LMICs)の高齢者における余暇身体活動(LTPA)とサルコペニアの関連に関するデータはない。本研究では,LMICs6ヵ国に居住する65 歳以上の高齢者におけるLTPA とサルコペニアの関連について調査することを目的とした。【方法】Study on Global AGEing and Adult Health(中国,ガーナ,インド,メキシコ,ロシア,南アフリカ)の横断データを用い分析した。サルコペニアは骨格筋量の低下と握力の低下で判断した。LTPA はGlobal Physical Activity Questionnaire を用いて評価され,二値変数[ 高LTPA(中強度から高強度のLTPA が150 分/ 週以上)または低LTPA(150 分/ 週以下)] として分析した。分析は多変量ロジスティック回帰を行い,その関連を評価した。【結果】この研究には14 585 人が参加した[ 平均(SD)年齢72.6(11.5)歳,女性55.0%]。高LTPA およびサルコペニアの有病率はそれぞれ8.9%および12.0%であった。潜在的交絡因子を調整した結果,低LTPA は高LTPA と比較して,高いオッズでサルコペニアと有意に関連していた[ 有病オッズ比(POR)=1.85,95%信頼区間(CI)=1.29-2.65]。女性では有意な関連が認められたが(POR =3.22,95%CI =1.82-5.68),男性では認められなかった(POR =1.52,95%CI =0.99-2.35)。

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© 2023 一般社団法人 日本予防理学療法学会

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