論文ID: JPTP-D-24-00014
【目的】靴の機能は靴底のすり減りと共に低下する。一般的に靴底の摩耗は,踵から接地するため踵外側部の摩耗が顕著である。しかし靴底外側部がすり減っている状態で歩行を続けることでの下肢関節への影響は明らかになっていない。そこで本研究は踵外側部の摩耗が下肢関節へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常成人15名30脚とし,三次元動作解析装置と床反力計を用いて摩耗靴と通常靴を履いた状態での自由速度歩行を計測した。【結果】通常条件と比較して摩耗条件では,膝関節内反角度,外反モーメントには有意な差は認めなかった。一方で,摩耗条件では初期接地直後の股関節内転モーメントの増加,荷重応答期での膝関節屈曲角度の減少,膝関節伸展モーメントの減少を認めた。【考察】摩耗靴を着用し歩行を続けることは,立脚初期の膝関節屈曲角度減少が起き,膝関節の障害を誘発する可能性があることが示唆された。