論文ID: JPTP-D-24-00023
【目的】幼児の肥満は世界的な懸念事項であり,本邦においても増加を認めている。本研究は,幼児期の肥満に影響を及ぼす要因について,粗大運動発達も含めて明らかにすることを目的として実施した。【方法】保育施設に通う幼児の母親を対象にアンケート調査を実施した。アンケートでは,幼児と母親の日常生活や粗大運動を獲得した月齢に関するデータを収集した。幼児の身長と体重から肥満度を算出し,肥満度を従属変数とする重回帰分析を行った。【結果】対象者は69例で,そのうち44例は肥満度が高く,25例は低い値を示した。肥満度が高い群では,帝王切開での出産と歩行開始の遅れが主要な要因であった。一方,肥満度が低い群では,寝返りと歩行開始の遅れ,母親の若年齢,完全ミルク育児が影響していた。【考察】幼児期の粗大運動発達は,肥満と痩身に影響を及ぼす可能性がある。今後は,成長過程での体重変化の原因についても検討する必要がある。