心理科学
Online ISSN : 2423-883X
Print ISSN : 0388-3299
研究情報
発達障害児者の母親の語りからみる本人の人生
元園長との振り返り面接記録のテキストマイニングと質的内容分析
辻 あゆみいとう たけひこ
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 44 巻 1 号 p. 29-48

詳細
抄録

 本研究では、発達障害児者の母親を一人の主体として捉え、その人生を家族や教師などの社会的関係から一考することを目指した。そのため、テキストマイニングと質的内容分析の併用による混合研究法を用いて10名の母親と元園長(支援者)との振り返り面接の記録を分析した。その結果、第一に、母親は家庭や教師をはじめとする人と社会的な関係を形成しながら生きていること、第二に、障害のある子どもを通しても人生を肯定的に意味づけるようになること、第三に、子どものみならず、社会に対しても願いを抱くようになることが示された。発達障害児者の母親は、子どもの幸せを願いながら、障害のある子どもを介して様々な人と出会い、多様な体験していることが明らかになった。旧知の関係にある元園長との対話を通しても、子育てにまつわる出来事を意味づけ、自己成長を見せると考察された。

著者関連情報
© 2023 心理科学研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top