東京電力福島第一原子力発電所の事故後,放射性物質によって汚染された農耕地土壌において,主に表土剥離及び客土による除染が行われている。除染後土壌では,有機物含有量が極端に低く,排土除染された層以下の土壌(以下,次表層土とする)においてより肥沃度が高い。耕うんによる客土と次表層土の混合が推奨されているが,実際の圃場では客土と次表層土の混合割合は場所によって不均一であることも多い。本研究では,客土と次表層土の混合割合がホウレンソウの成長に与える影響を調査した。また,窒素源としてヘアリーベッチと化学肥料(硫安)を組み合わせて試験を行い,作物への窒素供給量や土壌中の窒素循環に与える影響を調査した。 次表層土には黒ボク土を用いた。次表層土を混合しない客土のみでホウレンソウを栽培した場合は極端に植物体の成長が悪く,ヘアリーベッチ区でも収量は低かった。客土の理化学性や物理性が劣っていること,pH 緩衝能の不足,初期成長時リン酸不足,アンモニア過剰などが影響要因となり,ホウレンソウの成長が制限され,窒素の吸収が制限されると示唆された。一方,体積比で20 %以上次表層土を混合することでホウレンソウの成長と窒素吸収に改善が見られた。除染地土壌では推奨されているように次表層土をなるべく多く混合すること,その上で窒素肥料を施用することが重要であると考えられた。