家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
ラットの後分娩排卵に対する片側卵巣摘出の影響
橋爪 一善菅原 七郎竹内 三郎
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1975 年 21 巻 3 号 p. 116-119

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抄録
妊娠18日に片側卵巣の摘出を行なった動物では,分娩は正常な分娩の分布の後半,すなわち妊娠23日目の午後に多く認められた。一方,これに対し妊娠19日および20日に片側卵巣の摘出を行なうと,多くの動物は妊娠22日に分娩を終了し,対照区に比べ早期に分娩することが観察された。このため妊娠後半期における卵巣の役割が妊娠18日を境として変化することが推察された。妊娠22日において卵巣を片側摘出すると,後分娩発情時の排卵数は妊娠21日午前までに片側卵巣を摘出したものに比べ著しく減少した。また妊娠19日に片側卵巣の摘出を行なうと,48時間後には有意な卵巣重量の増加を認めた。これらのことから,後分娩発情時において排卵する卵胞の数が妊娠21日の午後から22日の朝にかけて決定されることが示唆された。また妊娠後半期においても片側卵巣摘出を行なえば,残留卵巣の代償性肥大を生じることが明らかにされた。
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© 日本繁殖生物学会
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