家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
脱落膜腫の黄体刺激作用について
金子 茂橋本 〓星 冬四郎
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 22 巻 4 号 p. 119-124

詳細
抄録

脱落膜腫の黄体刺激作用について,偽妊娠の持続日数並びに卵巣静脈血漿中のプロジェスチン濃度を指標として検討し,次の成績を得た。
1)脱落膜腫を形成させると偽妊娠期間は23.0日となり,偽妊娠4日目に子宮を摘出したもののそれ(19.3日)と比較し有意に長く,2)また偽妊娠7日目に脱落膜腫保有子宮角を摘出すると偽妊娠期間は17.4日に短縮し,子宮摘出ラットのそれと有意差は認められなくなった。3)一側卵巣に正常ラット卵巣2個分に相当する数の黄体を有する片側去勢ラットを用いて偽妊娠9日目における卵巣静脈血漿中のprogesterone(P)と2Uα-hydzoxypregn-4-en-3-one(20α-OHP)の濃度(μg/ml血漿)を測定した結果も同様で,脱落膜腫を形成させたものでは,P;2.82,20α-OHP;2.19で子宮摘出のもの(P;1.74,20α-OHP;1.00)に比して有意に高かった。4)また同様処置のものを更に偽妊娠7日目に脱落膜腫保有子宮角摘出あるいは下垂体摘出を行うと偽妊娠9日目には,Pはそれぞれ1.70及び0.25に減少し,20α-OHPはそれぞれ1.41及び3.60となった。
以上の成績は脱落膜腫には黄体刺激作用があり,この作用の発現には下垂体の存在が必要であることを示唆する。

著者関連情報
© 日本繁殖生物学会
次の記事
feedback
Top