家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
野外調査の結果よりみた乳牛の栄養と繁殖疾患について
鈴木 徳衛宮田 万司剣持 計夫古川 平吉
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 6 巻 2 号 p. 60-68

詳細
抄録
以上述べたことを総括すると,
1.調査牛の一般的事項
私達の調査対象牛は,平均年令4.4才,r均産次数2.1産,平均分娩間隔14.7ケ月,生後より初産までの'F均月令30.4ケ月,平均産乳日量11.7kg,平均体重467.9kgであつた。これからみても生産効率そのものは低いとは思われないが,平均年令および平均産次数より観察すると,耐用年数が極めて短かく,また日本ホルスタイン登録協会の発育基準に比較して,著しく小格であることなどは,さらに検討すべきであると考える。
2.繁殖並びに繁殖疾患
病的空胎,すなわち繁殖疾患が17.5%の高率を示し.多くの先人の報告(10%前後)と著しい相違が認められたが,このことは,調査時期,調査方法などの相違によたが,このことは,調査時期,調査方法などの相違によるのか,あるいは調査地区内の飼養管理,環境,気象などの外的条件がよくないために繁殖疾患が多発するものか,別の角度より観察することも必要であろう。
また繁殖疾患の内容を観察すると,最も多いのは卵巣疾患で74.1%,次いで子宮疾患の14.8%,卵巣疾患と子宮疾患の合併したものは11。1%である。さらにこれらを病名別に観察すると,卵巣機能不全が最も多く,繁殖疾患総数(81頭)の44.4%を占め,卵巣のう腫と黄体遺残症は,ともに8.7%認められた。
3.給与飼料の実態
飼料構成は多種多様であり,また飼養管理については知識の不足からか適正を欠くものが多い。
給与飼料養分中のTDN,DCPの組合せで,同じ比率の級に属したものを,ノミランスのとれたものと仮定すれば,実際野外においては9月期,12月期,3月期,6月期の年4回の断面調査の平均は55%程度で,また絶対栄養不足の状態を,「低栄養,低蛋白」の組合せと仮定すれば,約30%もあることは意外である。一般に3月期は給与飼料の状態が悪く,12月期と6月期がよく,9月期はやや劣る傾向を示した。
4.断面調査時の給与飼料と繁殖疾患
私達の調査成績では,断面調査時の給与飼料と繁殖疾患との間に特別関連を見出すことできなかつた。すなわちTDN,DCPの組合せにより,それぞれの比率ごとに級を作り,繁殖疾患群と繁殖疾患でない群をそれぞれ展開させ検討したが,理論的に肯定できる結果をえられなかつた。
5.見かけの栄養状態と繁殖疾患
見かけの栄養状態と繁殖疾患との間には,栄養状態の悪いものほど繁殖疾患の発生が多い傾向が認められた。なお卵巣のう腫は卵巣のう腫以外の疾患と比較すると,栄養状態の良いものにやや多いが,調査総数および繁殖疾患でない群と栄養状態(上,中,下)別分散を比較すると,「上」ではほとんど差がなく,「下」ではむしろ高率を示した。しかしながら卵巣のう腫は例数に不足のきらいがある。
6.繁殖疾患と細密検査所見
繁殖疾患と赤血球数との関係では,赤血球数の少ない級に繁殖疾患がやや高い傾向を示し,繁殖疾患とグロス反応との関係では,繁殖疾患群は繁殖疾患でない群より,グロス反応陽性率がやや高く,推計学的にも5%有意水準でこれを認めている。また肝蛭虫卵陽性群は,繁殖疾患の罹病率が高く,推計学的にも1%有意水準でこれを認めている。
著者関連情報
© 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top