1963 年 9 巻 1 号 p. 31-33
牛精液の凍結技術の中で重要且つ煩雑なグリセリン添加操作について種々検討した結果,相当簡易化し得ることを認めた。著者らが効果的と認めた方法は次のようなものである。
1. グリセリン7~8%を含む卵ク液を用い採取直後の第1次希釈(常温)で終末倍率まで希釈し,第2次希釈(4°C)は行なわない(第1法)。
2. グリセリン7~8%を含む卵ク液で採取直後の第1次希釈(常温)を2倍で行ない,4°C冷却後の第2次希釈(4°C)で終末倍率まで希釈する。この際の添加回数は1回(第2法)または2回(第3法)とする。
3. 以上の簡易添加法による凍結精子の生存率および受胎率を従来の方法と比較すると,第1法はやや良好な成績であつた。同時に行なつた第2,第3法の受胎成績はやや劣る結果を得たが,その後の野外試験における受胎成績は相当良好で,実用価値があるものと認められる。