家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
犬の繁殖生理に関する研究
筒井 敏彦
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1977 年 23 巻 2 号 p. 41-46

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抄録
犬の発情は季節に関係なく発現し,発情前期は平均8.1日,発情期は10.4日,発情出血は18.1日つづくことが明らかとなった。
犬の排卵は雄犬許容を基準に48~60時間で,左右ほぼ同時に起こり,その後約7日間許容がつづくことがわかった。
犬の受胎可能な交尾期間は,排卵前約60時間から排卵後108時間の7日間であった。しかし,犬卵は第一卵母細胞で排卵され60時間頃に第二母細胞となり受精能を獲得することが明らかとなったので,犬卵の受精能保有時間は排卵後60時間から108時間までの48時間であることがわかった。
受精卵は排卵後9日で桑実胚となり子宮に進入し,排卵後20.5~21.5日(受精後18.5~19.5日)で着床し,受胎可能な交尾期間が長いことから,交尾から着床までの日数は18.5~24.0日の幅が認められた。
妊娠期間も,排卵を基準にして交尾させれば,排卵後48時間までに交尾させた場合は排卵から分娩までの日数が,排卵後72時間以後に交尾させれば交尾から分娩までの日数がほぼ一定になることを認めた。
性周期及び妊娠期の末梢血中PとGの消長は,性周期では両者ともほぼ同様の傾向を示したが,妊娠期のものにおいては血中Gは分娩時も著しく高値を維持し,Pとは著しく異なる様相を呈した。
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