抄録
妊娠17日目のラットを用い,microangiographyによって黄体の微小血管に対するPGF2αの作用を検討し,次の知見を得た。
1.黄体の微小血管に対し,PGF2aは50,125及び250μg/kg(iv)により用量に応じた著明な収縮作用を示す所見が認められた。noradrenaline(NA)では,10及び50μg/kg(iv)により同様な変化が認められた。
2.全身血圧に対し,静脈内投与ではPGF2aの5~100μ9/kg,NAの0.5~50μ91kgで上昇作用が認められた。皮下投与では,両者とも1mg/kgで血圧上昇作用が認められた。
3.胎仔に及ぼす影響について,PGF2a 250μg/kg及びNA50μ9/kgの静脈内投与(b.i.d.)によっていずれも胎仔の発死を認めなかった。一方,皮下投与(b.i.d.)においては,PGF2a1mg/kgによって100%の胎仔発死率が認められたが,同量のNAでは認められなかった。
以上の結果は,PGF2a及びNAが,いずれも著明に黄体の微小循環を抑制するのに対し,黄体機能の低下はPGF2aによってのみ見られることを示すものである。