家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
牛におけるProstaglandin FcvとEstradiol bonzoateの同時筋肉注射による発情同期化
金田 義宏加茂前 秀夫百目鬼 郁男尹 漢武中原 達夫
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1978 年 24 巻 4 号 p. 169-173

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抄録

放牧牛において,prostaglandin F(PGF)とestradiol benzoate(E2B)の同時筋肉注射による発情同期化効果及び同期化された発情期における受胎性にっいて検討し,次の成績を得た。
1.放牧牛31頭(ホルスタイン種未経産牛)において,黄体期にPGF15mgを筋肉注射(A群15頭)あるいはこれと同時にE2BO.5mgを筋肉注射(B群16頭)した結果,処置後31~96時間に発情が発現したものはA群では13頭(86.7%),B群では15頭(93.8%)であり,両群の間には大差がなかった。しかし,発情はA群では処置後37~84時間に13頭 (86.7%),B群では31~60時間に14頭(87.5%)に集中して発現し,E2Bの併用によって発情発現までの時間は短縮した。
2.排卵は,A群では処置後73~120時間に13頭(86.7%),B群では61~96時間に14頭(87.5%)に起こり,E2Bの併用によって排卵の時期は処置後早期に,かつ短い時間帯に集中した。
3.同期化された発情期に授精したA群の13頭中7頭(53.9%),B群の16頭中9頭(56.3%)がそれぞれ受胎し,受胎率において両群の間に差異はなかった。
4.以上の成績から,PGFとE2Bを同時に併用筋肉注射することは,発情及び排卵の同期化に効果的であることを認めたが,この処置によって同期化された発情期の受胎性については,さらに多数例について検討する必要がある。

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