家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
Prostaglandin F analogue(ONO 1052)による牛の発情誘発と受胎成績
原田 利幸
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1980 年 26 巻 2 号 p. 61-64

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抄録

直腸検査による卵巣の触診ならびに腔検査による子宮頸管の状況と腔粘液などの所見から,黄体遺残症または黄体のう腫と診断した牛に対し,PGFanalogue (ONO1052) 800μgを臀啓部筋肉内に注射し,発情の誘発を試み,誘発された発情期に授精を行いつぎの成績をえた。
1.処置頭数は72頭で,発情誘起率は93.1%であった。誘起された発情期に65頭が授精できたが,受胎率は70.8%であった。
2.発情徴候の悪いもの(C区)の受胎率が90.9%で最も高く,ついで良好なもの(A区)が875%,A区よりやや劣るが良好なもの(B区)が62.2%であった。
処置後初回の授精時の卵胞の大きさと受胎率の関係では,直径約5mm以下の小卵胞のものでは93.3%で最も高く,ついで10mm前後の中卵胞では62.5%,約20mmに近い大卵胞では44.4%であった。
3.処置から排卵までの日数と受胎成績の関係では,5日のものが27頭で最も多く,このうち21頭(77.8%)が受胎した。4日のものは19頭でこのうち13頭(68.4%)が受胎した。6日のものは8頭でこのうち6頭(75.0%)が受胎した。ついで3日のものは2頭とも受胎した。以上のほか8日のもの1頭は不受胎,9,10,12日の各1頭はいずれも受胎した。

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