家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
ラット卵子の移植における卵巣ホルモン追加投与の影響
辻井 弘忠原 洋明吉田 元一
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1981 年 27 巻 1 号 p. 45-48

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抄録
ラット卵子の移植実験中,妊娠末期に胎児生存率の有意な減少がみられた。これは卵巣ホルモンに起因するのではないかと考え,卵巣ホルモン追加投与を試みた。
ウィスター系ラットを用い,妊娠5日目の供卵ラットの子宮より採卵し,電気刺激により偽妊娠誘起した偽妊5日目の受卵ラットの子宮上体部を開孔し,卵子を移植したo卵巣ホルモン投与群は,II. progesterone(1 mg),III-a, progesterone(1 mg)+estrone(0.25μg),III-b,progesterone(1 mg)+estrone(0.5μg)とし,移植した日より連日投与を行った。観察は,妊娠12日目に開腹し着床数を,また20日目に屠殺し生存胎児数を調べた。その結果,I(無投与),II, III-a, III-b群の12日目における着床率は,それぞれ58.8,70.8,84.4,90.2%であり,20日目における生存胎児率は,それぞれ6.9,11.5,21.9,21.6%であった。また着床後の生存率は,それぞれ11.7,16.2,25.9,23.9%でありいずれもIII-a群が,I(無投与)群より増加がみられた。
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© 日本繁殖生物学会
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