抄録
家兎桑実胚をDMSO,Ethyleneglycol,GlycerolあるいはErythritol(いずれも1.5M)を含んだPBSに浮遊させ緩慢あるいは急速に凍結して,液体窒素中に保存した。緩慢凍結したサンプルは緩慢あるいは急速に,急速凍結したサンプルは急速に融解した。融解後0.5M-sucroseを含むPBS中で耐凍剤を除去した後,血清加Tyrode液で約48時間培養してexpandedblastocystまで発育した胚を生存胚とした。その結果,緩慢凍結一緩慢融解法を用いた場合の生存率はDMSO区で最も高く(70%),ついでEthyleneglycol区(38%),Glycerol区(24%)の順であった。緩慢凍結胚を急速融解した場合も同様の傾向がみられたが,DMSO区(52%)およびGlycerol区(12%)の生存率は低下した。一方急速に凍結融解した場合の胚の生存率もDMSO区(27%),Eth-yleneglycol区(16%),Glycerol区(4%)の順に低下したが,いずれも3つの凍結融解法の中では最も低い値であった。Erythritol区では,急速凍結を用いた場合を除いて,形態的に正常な胚さえも回収されず,いずれの凍結融解法でも,発育胚は得られなかった。以上の結果から,家兎桑実胚はDMSOを用いて,緩慢に凍結融解するのが最も適していると思われる。