家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
雄ラットの交配使用頻度と妊孕率および着床数について
若藤 靖匡高倉 元史外尾 亮治津江本 由美子高橋 和明今道 友則
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1985 年 31 巻 3 号 p. 110-114

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抄録

正常雄ラットで交配使用頻度の増加による着床数低下について検討した。
実験群として,雄1匹に対し発情雌1匹単日交配群と連日5日間新たに発情した雌を1,2,3,5匹交配群を,3匹交配についてはさらに連日10日間交配群をもうけた。雄は単日交配群について64例,連日交配群について各群5例を用いた。全ての雌は妊娠7日目にて剖検し,妊孕率および着床数を調べた。
正常雄に発情雌を単日1匹交配すると妊孕率は100%,着床数は14.8±1.7個(使用雄64)であった。次に,正常雄に単日(連日交配1日目相当)に交配する発情雌数を増してみると2匹,3匹では希に不妊が生じ妊孕率の若干の低下と着床数の低下が少数例みられる。さらに単日に5匹の発情雌を交配すると供試雄5匹いずれにおいてもほぼ同様に妊孕能は低下し妊孕率は60%であった。しかし,着床数は正常範囲(平均13.3±2.9)であった。一方,正常雄に毎日新たに発情した雌を連日交配してみると発情雌1匹の場合は妊孕率は若干低下(88%)したに過ぎないが発情雌が複数(2,3,5匹)となると妊孕率は28~54%と著しく低下した。また着床数に関してみると単日交配に比べて低着床を示す雌の発現率がきわめて多くなった。その発現率は雄1対雌1単日交配では1.6%に過ぎなかったが連日発情雌1,2,3,5匹交配では25.0%,22.2%,27.1%,35.0%にも認められた。
以上の結果,正常雄ラットでも発情雌を連日交配することで妊孕率および着床数の低下を引き起すことが明らかになった。

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