家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
持続的に伸長刺激を与えたラット子宮の物理的性状に対するエストロジェンとプロジェステロンの協力作用
玉田 尋通
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1985 年 31 巻 4 号 p. 211-215

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抄録

持続的に伸長刺激を与えた分娩直後のラット子宮の物理的性状に対するプロジェステロン(P)とエストロジェン(E)の協力作用の有無を検討した。分娩後24時間以内(1日目)に卵巣を除去すると同時にパラフィンペレットを子宮腔内に挿入し,分娩後3日目(Day 3群)及び分娩後3日目から7日目まで,ゴマ油のみ(対照群),ゴマ油に溶解した4mgのP(P群),0.2μgのestradiol-17β(E2群)又はPとestradiol-17βの両方(PE2群)を投与して8日目に採取した輪走筋方向の子宮片の応力緩和曲線と静止張力-長さ曲線を求めた。
応力緩和は,Day3群よりも対照群の方が緩慢であった。またP群,E2群或いはPE2群の応力緩和は,対照群と比べて差がなかった。静止張力-長さ曲線の直線部分から得られるcollagenous frameworkの長さ(Lz)と伸長性(D)は,Day 3群の方が対照群より有意に大きく,生体長での張力(Tv)は, Day 3群の方が対照群より小さかった。P群とE2群のLz, D及びTvは,それぞれ対照群の値と差がなかった。しかし,PE2群では,対照群,P群及びE2群に比べて, L,は大きくTvは小さかった。PE2群のLzとTvは,それぞれDay3群の値と差がなかった。PE2群のDはDay 3群の値より小さかったが,有意差はないもののP群の値よりも大きく,また対照群及びE2群の値と比べて有意に大きかった。
これらの結果から,少なくとも子宮が伸長された条件下では,PとEは協力してラット子宮のLz及びDを維持し,子宮の張力を低く保つことが示唆される。

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© 日本繁殖生物学会
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