日本繁殖生物学会 講演要旨集
第100回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-47
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卵・受精
マウス排卵卵子における網羅的タンパク質発現(プロテオーム)解析
*野老 美紀子川澄 みゆり永井 宏平池上 春香申 承旭松岡 俊樹佐藤 学天野 朋子三谷 匡加藤 博巳安齋 政幸岸上 哲士佐伯 和弘細井 美彦入谷 明松本 和也
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抄録
【目的】  MII期の卵母細胞は、一つの細胞としては最も大きく、多様なタンパク質やmRNAを細胞質に蓄積している。特に、卵母細胞の成長過程で翻訳・蓄積されている母性タンパク質は、受精直後の胚発生に重要であることが示されている。現在、mRNAレベルでのトランスクリプトーム解析により卵母細胞に存在する遺伝子が同定され、胚発生で果たす機能が解析されている。しかし、卵母細胞中に存在するタンパク質について、その発現パターンや発現量については未だ不明な点が多く、初期胚発生の過程で発現しているタンパク質全体の変化を解析した報告はほとんどない。そこで本研究では、全タンパク質の抽出法、二次元電気泳動法、およびタンデム質料分析器を用いた網羅的タンパク質発現解析(プロテオーム解析)から、マウスMII期卵母細胞に存在するタンパク質を網羅的に同定した。 【材料及び方法】  本実験では、ICR系マウスを常法に従って過剰排卵処理により得たMII期卵母細胞を供した。タンパク抽出液を、pI4-7あるいはpI3-11、10%アクリルアミドゲルで二次元電気泳動を行った後、MALDI-TOF/TOF型質量分析計を用いてMSとMS/MS測定した。得られたスペクトルデータを用いてMASCOT検索し、タンパク質を同定した。また、ゲルイメージはTT900とProgenesis220を用いた定量的な画像解析に供した。 【結果及び考察】  二次元電気泳動後、260スポットを分離し、その内155スポットにおいて質量分析を行ったその結果、51スポットを同定することができ、同定されたタンパク質の中で最も多いものは、細胞骨格系タンパク質、エネルギー産生に関与する代謝酵素などであった。また、MII期卵母細胞に多く存在しているPeptidyl arginine deiminaseやPla2g4c proteinなどのタンパク質のプロファイルを得た。現在、更にタンパク質を同定するとともに、受精後の胚発生におけるプロテオーム解析を進めている。尚、本研究の一部はJST和歌山県地域結集型共同研究事業費で行った。
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© 2007 日本繁殖生物学会
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