日本繁殖生物学会 講演要旨集
第108回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-20
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性周期・妊娠
黒毛和種における発情時の乗駕許容,歩数および体温の様相
*後田 夏希山中 賢一阪谷 美樹和田 康彦竹之内 直樹
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抄録
【目的】牛群の繁殖管理において発情の把握は基本であるが,大規模化,畜主の高齢化等の飼養環境要因,暑熱等の環境要因ならびに遺伝的要因を原因とする発情の見逃しは依然として問題となり残されている。これに対応し,近年,発情管理の高精度化,省力化を目的として畜産のICT化が進められている。本研究では,発情検知デバイスにより黒毛和種における発情の様相を精査することを目的とした。【方法】黒毛和種経産牛6頭を反復供試し,発情同期化後に乗駕許容行動を示した延べ43発情について解析を行った。同期化処置としてPG単独投与(n=19)またはPGとCIDRの併用投与(n=24)を用いた。供試牛には,東北農研で開発された十字部への圧力検知を原理とする乗駕許容(ST)センサーおよび歩数計である牛歩(コムテック)を装着するとともに温度データロガー(KNラボラトリーズ)を腟内に留置し,発情前後の乗駕許容行動,歩数および体温の変化を調べ比較検討した。【結果】全平均でST行動回数は50.4±5.9回(最小自乗平均±標準誤差)であり,ST頻度はST開始時が4.3±0.9回/hrと最も高く,時間経過とともに低下する様相を示した。またSTの持続時間は14.6±1.3 hrであった。ST開始時間を0hとした時の歩数および体温の上昇(発情前10日間のデータの平均+2SD)時間はそれぞれ–1.1±1.0,1.7±1.0 hrであり,STの開始時間と同等であった。また歩数の増加および体温の上昇が確認された持続時間はそれぞれ15.4±0.9,12.8±0.9 hrであり,ST持続時間と比べると同等であったが,歩数と体温の持続時間の間には有意な差(P<0.05)が見られた。歩数および体温はそれぞれST開始後7.0±0.9,9.1±1.2 hrにピークを示し,その後はSTと同様に時間経過とともに低下する様相を示した。以上のことから,黒毛和種において発情時のST行動,歩数および体温は類似した推移を示すことが明らかとなった。
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© 2015 日本繁殖生物学会
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