日本繁殖生物学会 講演要旨集
第109回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-9
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精巣・精子
FG-beadsにより単離したブタ前精原細胞のFACS解析
*広瀬 海里竹元 将晶田中 沙智下里 剛士濱野 光市関口 健司保科 和夫高木 優二
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抄録

【目的】我々はブタ精原細胞に特異的なモノクローナル抗体PSS1を作出し,日本繁殖生物学会(2007年)において報告した。PSS1抗体は,ブタ以外の精巣には反応せず,未分化な精原細胞の細胞質および細胞膜を認識する(北信越畜産学会,2012年)。また,PSS1抗体とFACSを用いて,幼若ブタ精巣より前精原細胞を単離できることを報告した(日畜学会,2013年)。さらに, PSS1抗体と磁性ビーズ(FG-beads)を用いて,前精原細胞をより容易に短時間に90%以上の純度で単離できることを報告した(日畜学会,2016年)。今回,FG-beadsにより単離したブタ前精原細胞のFACS解析においてFG-beadsの結合した細胞の側方散乱(SSC)値が著しく大きくなること,並びに操作手順の見直しによりさらに高純度で単離できることを報告する。【方法】生後数日の幼若ブタより精巣を採取した。精巣を細切した後メッシュにて精細管を採取し,Papain酵素により分散さて,赤血球溶解処理を行って細胞懸濁液を得た。ニコデンツ密度勾配遠心分離法により細胞懸濁液から死滅細胞と細胞デブリスを除去した。精巣細胞にPSS1抗体を結合させた後,Protein Gビーズ(FG-beads,多摩川精機)を混和した。15 ml試験管をネオジム磁石スタンドに静置して磁性ビーズの付着した細胞を分取する操作を3回繰り返した。細胞はAlexa647あるいはAlexa488標識2次抗体で標識し後,細胞核をThiazole orange(TO)あるいはHoechst,死細胞核をPIで標識して蛍光顕微鏡およびFACSにより解析した。【結果】磁気分取により95%以上の高純度で前精原細胞を単離することができた。しかしながら一度に1×108以上の細胞を処理するなど取り扱う細胞数が増加すると純度が低くなる傾向があり,スケールアップは今度の課題であった。FACS解析により,FG-beadsを細胞に結合させるとSSC値が著しく高くなる傾向が認められたが,他のパラメーターには影響はなかった。

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© 2016 日本繁殖生物学会
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