日本繁殖生物学会 講演要旨集
第109回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-20
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内分泌
卵巣におけるFXR (Farnesoid X Receptor)の機能解析
*中田 瑞浦髙榮 健太郎藤井 博富岡 郁夫
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抄録

【目的】コレステロール代謝に関与するFXRは肝臓において胆汁酸をリガンドとし,ターゲット遺伝子であるSHP(Small Heterodimer Partner)の発現を誘導し胆汁酸合成を制御している。また,腸管において胆汁酸トランスポーターの発現を制御するなど,これまでFXRは腸肝組織での機能が注目されてきた。しかしながら最近,卵巣や精巣などの生殖器官においてもFXRが存在する可能性が報告された。生殖器官ではコレステロールを原料として性ホルモンが合成されており,肝臓での機能と同じくFXRがコレステロール代謝に関与していると推察できるが,その機能は全く不明である。よって,本研究は卵巣におけるFXRの機能について解析した。【方法】ICR系未成熟メスマウスからPMSG投与後48時間で卵巣を採取し,顆粒層細胞については卵胞穿刺により,前胞状卵胞および胞状卵胞については機械的に採取した。実験I:顆粒膜細胞におけるFXR及びSHPの遺伝子発現をRT-PCRにより確認した。実験II:前胞状卵胞と胞状卵胞におけるFXR及びSHPの発現量を調べた。実験III:採取した顆粒膜細胞を①無添加培地,②胆汁酸添加培地,③FXRアゴニスト添加培地,④FXRアンタゴニスト添加培地で24時間培養し,FXR及びSHPの発現量を解析した。実験IV: FXRをノックダウンした顆粒層細胞のSHPの発現量を解析した。【結果】顆粒膜細胞でFXRおよびSHPの遺伝子発現が認められ,さらに前胞状卵胞から胞状卵胞へ発育するにつれFXR及びSHPの発現量が増加した。一方,リガンド類の添加実験では,無添加区と比較して胆汁酸およびアゴニスト添加区でSHPの発現量が増加し,アンタゴニスト添加区ではその発現が減少していた。さらに,FXRをノックダウンした場合,SHPの発現量が減少したことから,顆粒膜細胞においてFXR/SHPカスケードが存在し機能している可能性が示された。今後,FXR/SHPカスケードのターゲットを探索し卵巣における機能を解明する。

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© 2016 日本繁殖生物学会
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