日本繁殖生物学会 講演要旨集
第109回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-14
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性周期・妊娠
サブユニット特異的なI型インターフェロン(IFN)受容体発現抑制によるIFN-τシグナル関連遺伝子発現への影響
*白水 貴大鈴木 惇文岩野 弘暉小木曽 貴季金 星佑唄 花子川原 学木村 康二高橋 昌志
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抄録

【目的】着床前のウシ子宮では,胚より分泌されるインターフェロンタウ(IFN-τ)が,IFNAR1(R1)とIFNAR2(R2)の二量体で構成されるI型IFN受容体を介したJAK/STAT経路によってIFN誘導性遺伝子(ISGs)の発現を誘導する。しかし,ウシ子宮におけるIFN-τシグナルの受容体サブユニット依存的なISGs発現調節機構は不明である。本研究では,ウシ子宮内膜上皮細胞におけるI型IFN受容体サブユニットの発現抑制がIFN-τ刺激による遺伝子発現へ及ぼす影響を検証した。【材料と方法】食肉処理場より採材したウシ子宮内膜組織由来の初代培養細胞を実験に供試した。細胞にR1またはR2のsiRNAを導入しRNA干渉した。導入24時間後のR1R2の発現抑制効果を定量PCRで検証した。さらに,siRNA導入24時間後に組換えウシIFN-τを添加し,12および24時間後の1)抗ウイルス能(MX12ISG15),2)IFNシグナル伝達制御(STAT12IRF1239),3)I型IFN受容体発現の維持(COPS5)および4)着床時の細胞増殖(TGF-β12)に関連する遺伝子群の発現量を定量PCRで解析した。【結果と考察】R1またはR2のsiRNA導入によるRNA干渉はR1R2の発現をそれぞれ特異的に抑制した。R1またはR2の発現抑制はIFN-τによるMX12ISG15STAT12IRF1239COPS5発現の誘導を有意に抑制した。特に,R2と比べてR1抑制時に高い発現抑制効果を示した。TGF-β12の発現については,R1R2の発現抑制による影響は見られず,JAK/STATシグナルから直接制御されない可能性が示唆された。【結論】IFN-τのIFNARを介したJAK/STAT経路にはR1依存的なシグナル伝達機構が存在することが明らかとなった。

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