日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-42
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ポスター発表
dystrophin遺伝子ノックアウトブタ精子の受精能
*上田 舜一郎岡本 一駿與那嶺 志織武藤 智之松成 ひとみ中野 和明徳山 雄紀黒目 麻由子WOLF Eckhard長嶋 比呂志
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抄録

【目的】デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は男児に発症する致死性のX連鎖遺伝性筋疾患である。dystrophinを欠失(DMD-KO)したDMDモデル動物(マウス,イヌ)では,精子の奇形や運動性低下が報告されている。我々は本学会第112回大会にて,DMD-KOブタにおける精子の運動性ならびに形態異常を報告した。この個体の左側精巣上体精子には,尾部の形態異常が高頻度(94.4%)に認められ,活発な前進運動を示すものはわずか(2.0%)であった。一方,右側精巣上体精子は活発な前進運動を保持していたが(83.2%),高頻度(68.4%)に先体外膜の異常を示した。このような特徴をもつ右側精巣由来精子の受精能の評価を,本研究の目的とした。【方法】右側精巣上体尾部精子をNiwaら(1989)の方法に準じて凍結保存した。精子運動解析装置(SMAS-Pig ver., DITECT)を用い,精子運動性を評価した。体外成熟卵を用いて体外受精を行い(Yoshiokaら2008を改変;媒精濃度:活発前進運動精子3.4×104cells/mL),受精率および胚発生を調べた。【結果】凍結前の活発前進運動精子率(83.2%)は,凍結後に著しく低下(6.8%)した。この凍結精子を用いて体外受精を行った結果,受精率(受精卵数/媒精卵数),正常受精率(2前核卵数/受精卵数),および胚盤胞形成率(胚盤胞数/媒精後培養卵数)は,77.6%(45/58),53.3%(24/45),57.9%(55/95)であった。この成績は,正常DMDブタ(n=4)精子で得られたもの(70.1%,56.8%,51.1%)と同等だった。【考察】DMD-KOブタにおいて,片側精巣の精子が形態および運動性の顕著な異常を呈する一方で,他方の精巣の精子が受精能を保持している事例が確認された。DMD-KOブタは,dystrophin欠失が精子形成に与える影響の解析に役立つ知見を提供し得るものと期待される。

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