日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-56
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ポスター発表
受精卵の核サイズによるヒストンメチル化修飾制御
*京極 博久北島 智也
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抄録

【目的】 受精卵は精子から形成される雄性前核と卵子から形成される雌性前核と呼ばれる2つの大きな核を形成します。多くの哺乳類で,雄性前核の方が雌性前核よりも大きく異なったヒストンメチル化修飾状態を持つことが知られている。しかしながら,雌雄前核のサイズの違いを生み出す要因や,その生物学的意味はほとんど分かっていない。そこで,受精卵の核サイズの違いが,異なったヒストンメチル化修飾の状態を同一細胞内で適切な状態に保つのに必要ではないかと仮説を立て研究を行った。【方法】本研究ではマウス卵子および受精卵を実験に用いた。顕微操作により細胞質量を変化させた卵子に顕微授精を行った後,前核のサイズを免疫染色により解析した(実験1)。次に質量分析,モデリング,ライブイメージングを用いて,核サイズの雌雄差を生む原因を探った(実験2)。最後に,顕微操作技術と免疫染色を用いて核サイズとヒストンメチル化の関係を観察した(実験3)。【結果および考察】(実験1)前核のサイズは細胞質量依存的に変化することが明らかとなった。(実験2)質量分析により雄性前核に多く存在するタンパク質を同定したところ,核膜孔タンパク質が多く含まれることが明らかとなった。さらにライブイメージングとモデリングにより核サイズの変化を観察したところ,核膜孔密度が核サイズの雌雄差を生むのに大きく寄与してることが明らかとなった。(実験3)細胞質サイズの異なる受精卵において雌雄前核のメチル化レベルを計測したところ,雌性前核は核サイズ依存的にメチル化レベルを変化させますが,雄性前核はサイズが大きくなってもメチル化レベルを維持でき一種の抵抗性のようなものがあることが分かりました。すなわち,雄性前核が核質材料を奪うことで,雌性前核の核サイズを小さく保ち,ヒストンメチル化レベルが必要以上に低下するのを防いでいると考えられます。

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