近年,沿岸域レクリエーションエリアの公衆衛生や細菌学的な安全性を確保するため,沿岸環境における細菌学的調査や汚染源追跡が重要視されてきている.本研究では,河口・沿岸域におけるふん便性細菌の挙動について,都市河川(八重川,一級河川)の上流部から河口における実態調査,ならびに都市河川水と海水とを用いたバッチ式の混合実験によって検討した.都市河川の実態調査において,ふん便性大腸菌群とふん便性連鎖球菌は河川の流下にともない細菌数が減少し,塩分濃度が20psu以上になる地点において最も低い値を示した.また,混合実験ではいずれのふん便性細菌も同様の挙動を示し,海水との混合によるふん便性細菌の凝集・沈降は認められなかった.しかしながら,高塩分濃度下(25psu以上)において,細菌数が減少傾向を示したことから,ふん便性細菌は塩分の影響によって死滅する可能性が示唆された.