環境技術
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研究論文
接触酸化法における芳香族化合物含有排水の処理
熊見 彰仁大隅 省二郎貫上 佳則
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2015 年 44 巻 12 号 p. 667-675

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抄録

 芳香族化合物を含む排水の高濃度,高負荷処理を可能にするため,付着担体を用いた生物膜法(接触酸化法)による処理性能を評価した.従来の活性汚泥法と比べ,フェノール濃度1,500㎎/L,クレゾール濃度1,000㎎/L各々に対する除去速度が3倍以上に増大し,また,クレゾール濃度1,500㎎/Lにおいては,耐性に優位性が見られた.芳香族化合物を含む化学工場排水を使用した連続試験において,単位時間・容積あたりのCODCr (Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)除去量約6.5㎏/m3/dの高負荷処理が 約50日間にわたって可能であることを実証した.この優位性の要因を微生物の遺伝子解析により考察した 結果,本法により菌叢が大きく変化し,Alcaligenes属が選択的に増殖していることがわかった.さらに,13Cで標識したフェノールを用いた処理試験により,フェノール除去性能に大きく寄与している微生物種がAlcaligenes 属であることを見出した.

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© 2015 環境技術学会
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