環境技術
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研究論文
活性汚泥中のバイオサーファクタントの特徴
大野 勝也奥村 健一矢田 ひかる中村 浩平髙見澤 一裕
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2015 年 44 巻 3 号 p. 161-169

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抄録
活性汚泥をテトラクロロエチレン(PCE)にて馴養した後,氷上濾過することでバイオサーファクタント様物質(BS)を得た.このBS によってPCE の液中への溶解度は約2.5倍に向上した.この時,粒径分布のピークはPCE 添加前の64nm,248 nm から添加後では389 nm,4,053 nmに増大しPCE のミセル化が確認された.Tween 20やサーファクチンナトリウム(SF)と比較すると,BS における乳化力が最も高かった.また,原油の油膜排除効果はBS,Tween 20,SF の面積比で比較すると,各々0.22,0.21,0.15となり,BS の油膜排除効果が最も高い結果となった.TOC ではBS の油膜排除効果はTween 20やSF よりも低かった.さらにこのBS のメタノール抽出画分に油膜排除効果があり,薄層シリカゲルプレート上ではニンヒドリンで発色し,UV220 nm に極大吸収があったことからペプチド結合を有するBS であることが示唆された.以上より,活性汚泥において疎水性の高い物質に対し強い乳化作用を示すBS の存在と性質の一部が明らかとなった.
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© 2015 環境技術学会
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