環境技術
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酸性雨による土壌塩基の溶脱について
篠崎 光夫
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1983 年 12 巻 12 号 p. 821-827

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抄録

酸性雨による土壌塩基の溶脱について, 基礎的実験を試みた結果は, 次のように要約される.
(1) 人工酸性雨 (pH2.0, 2.7, 3.3, 3.8) による4種の土壌からの塩基の溶脱は, pHが低いほど多く, pH3.8でも森林表土と火山灰土では森林心土や沖積土よりもはるかに多い.
(2) 有機物の少なく, 緩衝能の小さい森林心土や沖積土では, 雨水のpHがそれほど低くなくても土壌pHHの低下への影響は, 比較的大きい.
(3) 酸性雨の下層土壌への浸透は, 下層にゆくに従ってわずかではあるが溶脱の程度が増加する傾向が森林心土でみられた.
(4) 実際の降雨による土壌塩基の溶脱は10, 400mm相当の雨量で約5%程度であり, 森林での自然のサイクルによる落葉枝等の塩基補給があれば, その程度は若干低くなると考えられた.

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